2009年4月13日月曜日

文化社会学概論


京都に赴任して来て最初の講義が終わりました。とはいえこの講義は映像美学の前田茂先生とのコラボ講義なので、今回は僕は座って拝聴するのみ。美学の議論を取り入れて、記号論的な切り口から文化社会学にアプローチしようといる試み(って言うか僕が不慣れなため、無理して共同担当にしてもらった)なんですが、うまく行くかどうか。今日見てた感じだと、ちゃんと話について来てる(と見られる)学生も多く、これからが楽しみ(まあ、寝ている人もいましたけど)。共同担当で、自分の番じゃないときに教室の様子を端から眺められるっていうのは結構良い体験かもしれない。パワポとか使わずに臨機応変に授業を進められる前田先生のオールドスクールな味っていうのは、やっぱすごい。

話変わって昨日は、読売文学賞を受賞された細川周平先生の「受賞を祝う会」というのにお邪魔してきました。もったいぶったセレモニーではなく、細川先生の周辺のミュージシャン仲間で企画されたものらしく、学者はほぼ不在(柿沼先生と初めてお目にかかりましたが)。受賞作『遠きにありてつくるもの』の冒頭で、学者連がこれまでバカにして来た「情(け)」というものに、学問的に取り組もうとしたというだけあって、とても暖かい、抱擁力のある雰囲気で、こういう趣旨のパーティーであれほど心を動かされたというのも、子どもの時のお誕生会以来でした。生細川の生ピアノも、お嬢さんのバイオリンもうれしく楽しく聞きました。奥様も初めてお目にかかりました。

受賞作『遠きにありてつくるもの』は現在精読中ですが、ブラジル移民という大河ドラマみたいな背景はないにせよ、パリにいた自分の心持ちが重なって刺激を受けてます。あと、「日本製品」に対する移民文化と現地の主流文化の温度差のなかで自分の立ち位置を交渉しなきゃいけない感じとか。次の研究に向けて結構足がかりがつかめそうな感じがしてます。それよりも何よりも文体というか筆致がやっぱりすごい。そのうちもうちょっと詳しく書きます。

2 件のコメント:

ひらげ さんのコメント...

『遠きにありてつくるもの』面白そうですね。ぼくも読んでみます。

DJmagimix さんのコメント...

おお。今コメントに気がついたよ。うん、とてもおもしろい本です。僕もみすずから同じくらいの厚さの本を出してるんですが、値段が三周り位安いのは、ヤッパリ「格」ですね。