2009年2月11日水曜日

the concept of the unique original loses its meaning

これは、フランスの国立視聴覚研究所(INA)英国放送協会(BBC)の主導する今年1月1日に始まった視聴覚オブジェクト(録音物、ラジオ番組、テレビ番組、その他)のデジタルアーカイブ化技術の研究プロジェクトですが、その活動方針の最初の段落に、ベンヤミン先生を彷彿とさせるこんなフレーズが登場してます。
Audiovisual content collections are undergoing a transformation from archives of analogue materials to very large stores of digital data. As time-based digital media and their related metadata are edited, re-used and re-formatted in a continuously evolving environment, the concept of the unique original loses its meaning and we require dynamic processes that can preserve indefinitely not only the audiovisual signal but also its evolving associations, context and rights. [source: PrestoPRIME]
要するに、機材や標準が老朽化しても永劫見続けられるデジタルデータっていうものの可能性を模索する研究ということなんですが、デジタルデータそのものではなくて、そこに刻印されるアノテーションやメタデータも永劫に一緒に保存される(で、そのメタデータの一つに権利情報も含まれる)っていう具合らしい。

なんとなくやっぱり、作品はアナログ方式のように擦り切れて最終的には忘れられるべきだとかいう考えが頭を巡る。デジタルって、永久保存が理論的に可能、ってとこがすごく人の考え方を凝り固まらせてはいないだろうか。音楽(1次元)、テレビ(2次元)くらいならいいが、自然資産(自然の造形)やら都市なんかを今度は3次元でデジタル保存する技術なんかも開発中らしい。全部デジタル化が完了して、アナログの磁気テープとか破棄したところで、セーヌ川が氾濫してサーバーが全壊したりすると、人類にとってはちょうどいいくらいじゃない?実践感覚として、忘れることも大事だよな(笑)。

まあ、研究者としてはオンラインで資料当たれるのは便利この上ないのだが……。特にINAはポピュラー音楽研究にはもってこいだよ。ポピュラー音楽ではないけど例のGRMもINA所属です。BBCのiPlayerは権利の関係で、英国外では見られないのよね。

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