2008年12月15日月曜日

「シュール」な一日

今日は電車がストだった。最近、立て続けにストが起こってるのだが、やっぱり困るもんは困る。とはいえ、別に人と会う約束もないので、出社は早々に断念して家に帰った。しかしまあ、家に帰ったら帰ったで、普段使っているコンピュータがまだ修理から戻っていないため、プリンタが使えないという事実に愕然とする。今使っているネットブックのOSがLINUXなので、ドライバとか一生懸命探してみたものの、どうもないらしいのだ。やらなきゃいけない作業は英語で書かれたpdf書類を日本語に概訳するというもので、しごく単純なのだが、小さな画面でpdf書類とテキストエディターを両方表示しようとする方が無理。どうにも捗らない。
なので、早々にあきらめて、ここ数週間我が家で懸案となっている、家のトイレの交換作業を一気に完成させてしまおうと思い立つ(と言うより、奮い立つという感じね)。それが11時半位。それから一応図面(のようなもの)をつくって、一路いわゆるDIYショップまで行ったんですが、たどり着いたら、正午12時から14時まで昼休みということで閉まっていた。このお店、実は家から車で30分くらいのところにある広くて周りには似たような大型小売店以外なにもないところにあるんだけど、そういうところで2時間つぶすのは至難の技ですよ。どうせ専門書なんて置いていない本屋とか、店内でフォークリフトが稼働している文房具屋とか、入口から一番奥の壁に見える大画面テレビまでたどり着くまで5分かかるようなだだっ広い家電店とか、ヒットチャートもののCDと「名盤」しか置いていないCD屋などを冷やかし(それでも、ちょっと前から探していた「蜜蜂のささやき」のフランス版DVDをゲットしたから、まあ、収穫がなかったわけではないのだが)、マクドナルドでゆ〜っくり昼飯を食い(この他には、ケンタッキー・フライドチキンと、和食「トーキョー」などもあり)、やっと14時までやりすごし、目的の店にたどり着くと、また一悶着。
いや、僕が眼を付けていた商品はあって、それを持ってレジに行ったんだけど。僕が欲しいのは便器だけで(食事中の人ごめんなさい)、水洗用のタンクは要らないんだけど、両方一緒じゃないと売れないというのである。しかし、売り場では、別売り可と書いてあるわけで、それを説明するのに、レジと売り場の間を3回も往復しなければならなかった。こういうフランス流には慣れたつもりでいても、やっぱり疲れるわ。店員のやりとりなどから想像するに、どうもすこし前までは別売りしていたけれど、最近マイナーチェンジがあって、それ以降は別売りはしないことで話がまとまった(メーカーと店の間で、であり、店員全員の間に話が浸透した、ということではない)。しかし、その話を聞いていなかった店員が、今まで通り、別売りできるという貼紙を貼ってしまった、ということらしい。そんなこと説明されたってこっちはわけわからないので、「わけわかりません」と言うと、なんかそのへんで折れてくれて、便器だけ持って帰って良し、ということになった。あまりにも店が広く、扱っている商品の数が多いので、なにがどういう風に売られているのか、誰も把握してない感じである。まあ、欲しいもんがちゃんと手に入ったので、一応ラッキーか。
で、帰りしな、こういうのばっかりだよなーフランス、なんて思いながらボーっと運転してたんだけど、ある時点から、そういうフランス生活ももう終わるのか、なんて感じでなんとなく感慨深い感じになってきた。あるとむかつくけど、なくなると困るというか。なんか、どっちもどっちだよな。ストが続いたり、店に在庫がなかったり、店員が自分の売っているものを把握してなかったり、そういうことがあるたびに(ってほぼ日常茶飯事だけどさ)、すごく不条理な気分になるけれど、それにしたって、彼らも兵隊じゃないんだから、別にいいじゃない、という気もする。もしかしたら、オタク度の高い客に負けじとどんどん知識を吸収する日本の店員の方が、知らない間に雇用主の思うままになっていて可哀想、なんて思ったりもするし。でも、雇用者・被雇用者の利害対立という図式で全てを判断しようとしている事自体がすごくフランス的なのかもしれないし。
そんなことを考えてたら、なんか知らないけれど、レコードプレイヤーの針を替えないと、という気分になり、うちの近所周辺で唯一のDJ用品屋にいくことにした。実は子供が生まれてからここ数年、ターンテーブルの電源は入れていないのである。そもそも時代の方が、レコードもCDも駆け足で通り越していったのだ。日本のDJ用品屋というと、サンプラーやらの機材が並ぶ楽器屋の一種だが、こちらでは舞台装置屋である。照明機材やPA機材を扱っていて、本職は舞台設営であり、またディスコやライブハウスのPA設置やメンテ、そして本番でのオペレーションである。一般消費者向けの小売業務は片手間らしい。確かに、一般消費者に頼っていたのでは商売あがったりでしょう。一方で結婚式やらなんやらのパーティーや夏のフェスティバル、その他街のPA需要はかなり高いはず。日本人はパーティーで踊らないからね。そのへんで商売の形が違ってくるよね。
で、レコードプレイヤーの針が欲しい、と言うと、おばさんが、「どんな針がいいかしら。うちの製品はみんなシュール(確実)なのよ」と言う。なるほど、流石フランス人風の自信過剰な勧めかただ、とか思ったのだが、さらに話を聞くとどうもつじつまがあわない。で、考えをめぐらした結果、「シュール(より正確にカタカナ表記するとスュールになるらしい)」ではなく、カートリッジメーカーの「シュア(フランス語読みでシュール)」の話をしていたのだ。探していたのはまさにシュアの針だったので、型番を言って買った。買って帰ったのだが、いざ装着してみるとダブダブで、レコードの回転に流されてしばらくするとすぽっとカートリッジから抜けてしまう。こんなことってあるんでしょうか、と思いながら、取り合えずセロテープで留めて使ってますが、それでもひさ〜し振りに聴くレコードは良いですな。家に帰ったら16時半位でもう暗くなっていたけど、それから今(23時)まで、数年間聴かなかったレコードを聴きまくりです。こども達も喜んで踊ってたし、奥さんも懐かしい曲に顔が綻んで、やっぱり音楽ってすごいなと思うことしきり。なんで音楽って、それを聴いていたころの記憶とか、心の在り方とか、あるいは身体的な態勢とかそうしたことまで喚起できるのか、やっぱり不思議ですね。子供に歌う子守歌とか、子供が歌う子供の歌とか(まあ、これはフランス語がメインなので、僕にはあまり関係ないけれど)、回り回って自分の子供時代を彷彿とさせるしね。
僕にとっては、アナログレコードは、そのまま研究生活に継ってますな。日本に帰るときは、レコード持って帰らないとなぁ。重いけどねぇ。

というわけでまた今度。

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