2008年12月25日木曜日

iPhone、競争法に抵触だって

一週間前くらいの話っすが、フランスの競争規制機関である競争評議会が、フランス最大手の携帯オペレータ・オランジュと米アップルが結んでいる5年間のiPhone独占販売契約は「違法」との判断を出したとのこと。オランジュの競合相手であるブイグ・テレコム(同部門3位)が、同契約は自由競争を妨げるものだとして提訴していた。評議会の決定を受け、ブイグ・テレコムはもちろん、第2位のSFR(ヴィヴァンディ傘下)も近日中にiPhoneを発売する動きを見せている。下手するとアマゾンやFNACなどの量販店でもiPhoneが出回る可能性がある。いずれにしてもクリスマス商戦には間に合わなかったけれど。一方、オレンジはこの決定と時を同じくしてiPhoneの価格を大幅に値下げしている。発売当初199ユーロくらいだった(と記憶している)16Gのモデルが、先週は99ユーロになっていた。競合各社が発売する前に、出来る限り在庫分を処理してしまおうということなのだろう。競合各社がいくらでiPhoneを売り出すのかは現時点ではまだ不明である。
競争評議会の決定について、オランジュ側は遺憾の意を示しており、「ドイツやイギリスやアメリカなどと異なる判断になる根拠に疑問がのこる」として決定の差し戻しを求めている。一方、競争評議会は、オランジュを筆頭に他2位のSFRと3位のブイグ・テレコムの3社による寡占状態が恒常化しているフランスの移動体通信市場は英米独とは比較できない特殊なものであり、だからこそそうした状況をさらに悪化させるような独占契約は認められない、と判断の根拠を示している。
今回の決定、多分アップルにとっては別に困ることではないのだろう。iPhoneの販売台数自体がこれによって落ちることはないだろうし、逆に増える可能性もある(ビジネスモデルは微妙に変更しないとだめなのかも)。しかし、オランジュにとっては今回の決定はかなりの損益につながるはず。独占販売が出来ることで見込んでいた増収分はチャラだものね。
とはいえ、欧州的な文脈だと、iPhoneは3G的な携帯端末の使い方を切り開くものとしての役割が期待されているので、オペレータに拘らず様々な人の手に渡るようになるのは、確かに競争強化と市場の拡大、という面ではメリットがあるんでしょうね。欧州各国のオペレータは、フランスでの決定が飛び火してくる可能性を心配しだしているそうだ。
携帯回線を使ったデータ通信が欧州でどれくらいのレベルまで普及するかを占う上でも、今後注目が必要な要素になりそうね。

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